2022/11/11ARCUSNew!
【正しい模試の捉え方】30%で合格する子、80%で不合格になる子ーVもぎ、首都模試、サピックスオープンー
こんにちは、あるいはこんばんは、黄昏くん。最近スパイファミリーにハマっている塾長です。
設定の妙をついた面白い作品ですよね。
スパイ、暗殺者、超能力者。
それ自体はありふれた設定なのですが、それを家族に詰め込むという発想がお見事です。
前話はさておき、さて、久々の更新となりました。一度記事を書かなくなると習慣が薄れ、このように更新期間が空いてしまいます。
自戒です。
本日は受験の追い込み期である今、様々な模試の結果に一喜一憂している方のために、正しい模試の捉え方について触れたいと思います。
■この記事でわかること■
1.模試に対する正しい捉え方
2.模試の正しい活用の仕方
3.各模試の特徴と活かし方(①Vもぎ ②首都模試 ③サピックスオープン ④合不合判定テスト)
1.模試に対する正しい捉え方
まず最初に目につくのは、大方「志望校判定・合格率」の部分だと思います。
そして受験生や親御さんが最も躍らされるのが、この部分です。
S・A判定、合格率80%以上なら大丈夫だろう。
D・E判定、合格率30%以下なら絶望的だろう。
短期での指標として、目標設定の材料として、確かにこの「合格判定」は最適な代物だと思います。ですがそればかり見ていると、足元をすくわれることがあります。
毎回の模試で第一志望がS判定だったのに、80%以上だったのに、まさかの不合格。
毎回の模試で第一志望がD判定だったのに、30%以下だったのに、奇跡の逆転合格。
これらは決して珍しいケースではなく、なんと、毎年何件か必ず目にします。良くも悪くも「なぜ?」と思ってしまいがちですが、実は模試の中身をちゃんと見ていれば、事前にその可能性に気づけることが多いのです。
まず大前提として、「模試はそのテストを受けた全体の中での自分の立ち位置=序列を示すものであり、それを数値化したものが偏差値である」ということを、しっかり理解しておきましょう。その上で、安易に”模試の結果がいい=合格できる”という考え方をもたないことが肝心です。
例えば順位と言えば、サッカーの世界に「FIFAランク」というランキング制度が存在します。現時点では日本は24位、ちなみに1位ブラジル、2位ベルギー、3位アルゼンチンとなっていますが、ここでポイントになるのが「下位は上位に絶対勝てないのか?」ということです。答はもちろん「否」。全然そんなことはないということを、サッカーを見たことがある方ならご存じかと思います。その日のチームコンディション、対戦相手との相性、ホームかアウェイかなど、実際の試合では様々なファクターが絡み合い、それが勝敗を左右します。
そしてこの「FIFAランクと実際の試合」という相関関係は、「模試と実際の入試」にもドンピシャで当てはまると思ってください。出題される単元、練習である模試と本番である入試、当日の体調、問題との相性、実質倍率。それらが絡み合うことで、まさかの不合格、奇跡の合格が生まれることになるのです。
では模試の何をどう見ていけばよいのでしょうか??それはずばり「単元別正答率」です。受験生本人が結構スルーしている部分が、実は最も大切だったりします。ではその見方と活用の仕方について、次節で述べたいと思います。
2.模試の正しい活用の仕方
単元別正答率は自身が今できていない部分を明示しているもので、「この単元の復習をしろよー!」というメッセージです。それを既読無視しているようでは、結果に結びつくはずがありません。”全然模試の結果がよくならない””良かったり悪かったり、結果が安定しない”という声をよく聞きますが、「それはただ結果だけ見て一喜一憂しているからです!」と声を大にして言いたいです。
ましてや模試の直しをしないなんて言語道断です。暴挙です。目の前に示された×を〇にすることこそが、最も合格に近づくということを肝に銘じておいてください。何気なく、これが今回の記事で最も大切な内容になります。その他はおまけぐらいに思っておいてください(笑)
合格するために、模試を受けた後にやる行動は以下の通りです。
①単元別正答率から、自分の苦手単元や問題をピックアップし、その部分の復習を日々の学習ルーティーンに組み込む
②模試自体の直しをきちんとする(特に国語!)
③時間が経ってからの模試の解き直しまで出来ればパーフェクト
少なくとも①②は必ずやりましょう。そうしないと、模試で間違えた問題が入試に出てきた時に、とんでもない後悔をすることになります。見直しをしないで模試を受け続けることは、「後悔の航海」みたいなものです。そう、ひたすらに後悔し続けるということですね。よい船旅にしたい方は、ぜひ上記実践をお願いいたします。
3.各模試の特徴と活かし方
今回は東京の高校受験生御用達のVもぎや、ARCUSお得意の中学受験における有名模試について触れたいと思います。他にもたくさんよい模試はあるのですが、今回は絞ってお伝えいたします。
①Vもぎ
【特徴】高校受験生用の模試。東京はVもぎが主流、ただWもぎもある。Vもぎは東京、Wもぎは神奈川、Sもぎが千葉、北辰テストが埼玉、という風に各都道府県に模試の代名詞が存在する。コンセプトとしては「本番の問題より難しいので、実際の入試では高めの点数がとれる」そうだが、そこは何とも。ただ非常に良い指標で、信頼も厚い模試。S・A判定の実際の合格率は非常に高く、D・E判定は倍率割れしていないとほぼ受からない。受験に臨むには最低でもC判定は必要。
【活かし方】都立そっくりもぎなどは、前述している模試の見直しをしっかりやることで合格に近づく。気をつけるのは私立の判定や私立Vもぎで、そこは正直あてにならない。私立の合格可能性は、倍率+実際の過去問での得点率で見た方がいい。
②首都模試
【特徴】首都圏内の中学受験生がよく受ける模試の一つ。レベル的には下位~中位層向け。偏差値が高く出やすく、四谷大塚の偏差値に換算する際は「ー7~」、SAPIX偏差値に換算する際は「ー15~」といった補正が必要。ただ、下位~中堅上位までの合格判定を推し量るにはとても良い模試。反面、上位校の判定には有用ではない(問題レベルが違いすぎるため)。また首都模試の過去問集は非常に便利で、偏差値や志望校判定も出すことができ、キリの悪い時期から個別で中学受験を始める子などには大推奨(ARCUSでも使っています)。
【活かし方】こちらも前述の見直しをすることで、ぐっと合格が近づきます。%で判定が出ますが、結局は過去問で点数が取れるか取れないかの方が重要ですので、直前期は過去問の得点率の方を優先して見てください。
③サピックスオープン
【特徴】首都圏最難関模試。通称「SO」。中堅上位~最上位校を狙う子向けで、偏差値は辛い。問題も辛い。ただ良問多し。御三家、準御三家を狙う子たちはほとんど受ける。「合格力判定SO」と「学校別SO」があるが、前者が一般的な模試で、後者が各学校の独自色に合わせた本番を想定した模試となる。個人的には、学校別SOより合格力判定SOの結果を優先した方がよいと思っている。学校別SOは激辛で、悲惨な点数をとりやすいためメンタル注意。
【活かし方】模試の解き直しはよいとして、弱点単元の復習をどの教材でやるかが非常に難しい。SAPIXに通っているなら、小6のデイリーサピックスや直前のサマーサピックスで復習すればよいが、他塾の方は結構悩むかもしれない。算数で基礎の復習なら、「四科のまとめ」「プラスワン問題集」「ステップアップ演習」あたりが妥当。上位問題の経験値をあげたいなら「最高水準問題集」は面白くてよいが、時期的に過去問優先になりがちなので、いっそ過去問を教材代わりにしていった方がよい。そういう意味では、過去問で間違えた問題をノート化するのもよい。
④合不合判定テスト
【特徴】四谷大塚の模試。どのレベルにも対応する万能型模試。ただし、志望校偏差値が首都圏模試基準で55未満の場合は、この模試は受けなくても良いと個人的には思っている。独学や個別指導塾で中堅上位を狙う子にお薦め。かくいう私も、受験生の時にお世話になりました。
【活かし方】模試解き直し後の苦手単元の復習は、予習シリーズ関連の教材でやるのがよい。さらっと復習するなら四科のまとめ、じっくり復習するなら予習シリーズをおかわり。実戦経験を積みたいなら入試実戦問題集でもよいが、ならば色々な学校の過去問をやった方が力になると思う。時期的に色々な教材に手を出せないため、そこらへんの判断は有識者に相談するべき。ちなみに夏明けの合不合で志望校三つ(聖光・浅野・サレジオ)ともに最低判定だったが、すべて合格した実例がここにいるので、希望は捨てないでくださいね。
久々のブログで気合が入ってしまいましたが、こうやって一球入魂しすぎると続かないんですよね(苦笑)本当に何事もバランスが大事です。模試の見直しなども、早くから習慣化することをお勧めします。特に男の子、そして小6受験生は解きっぱなしの子が多いので、本当にそれだけはやめた方がよいですよ!
合格したいなら、「×を〇にする勉強」を!!